アスベスト問題の深刻化
アスベスト問題の深刻化は使用禁止前にアスベストを吸い込み石綿肺や肺がん、中皮腫などの病気を発症した患者だけでは無く、誰もが住宅等で使用されているアスベストを含む建材等で、今後も健康被害を起こす可能性がある事なのです。
建設労働者に限った事でな無いのです。
一般の方であっても、僅かでもアスベストを吸い込んでいれば、病気を発症する恐れがある事を知って欲しのです。
そもそも、アスベストとはどんなもので、どんな所に使われているのか理解して下さい。
アスベスト(石綿)とは
アスベストは地球上にある天然の繊維状の鉱物で、(せきめん)や(いしわた)とも呼ばれます。
繊維の太さが髪の毛の1/5000程度と細く、肉眼では確認する事は出来ず、粉塵として浮遊し、肺の最深部にまで吸い込む可能性があるのです。
日本の石綿鉱山は質が悪く、殆どが輸入され、全面的に禁止されるまでの総輸入量は1000万トンにもなり、1995年には輸入量の大半が建材に使用されました。
アスベストの製品用途
丈夫で耐熱性や耐火性などに優れ、製品加工がしやすい特性から、建材や工業製品、日用品などに多く使用されて、最盛期には3000種類以上の用途で使われていました。
こたつ、魚焼きの網、理科実験用の石綿金網、ベビーパウダー、日本酒製造ろ紙など
スレート材、窯業系サイディング、押出成形セメント板、水道管など
自動車用のブレーキライニング、ブレーキパッド、石綿紡績品、ガスケット、電気製品など
日本のアスベスト規制や使用禁止の遅れ
画像はアスベスト使用量の国際比較を表しています。
1975年にアスベスト使用量が多かったアメリカやドイツでは、1990年には使用量が激減していますが、日本だけは増え続けています。
世界と日本のアスベスト規制の流れ
- 1972年:WHO、ILOが職業癌発生を指摘
- 1975年:日本で吹き付けアスベスト禁止
- 1978年:フランスが吹き付けアスベスト禁止、翌年にドイツも
- 1980年:ILOが石綿肺がん中皮腫を職業病に
- 1983年:アイスランドが世界初の全面禁止
- 1985年:イギリスが青、茶石綿の禁止
- 1986年:ILOが石綿条約を採択(青石綿、吹き付け禁止)
- 1990年:オーストリアなど欧州各国が原則禁止
- 1995年:日本で青、茶石綿の使用禁止
- 2004年:日本で輸入、製造、使用、譲渡が禁止
- 2006年:0.1%以上の石綿製品一部除外品を除き全面禁止
日本では、吹き付けアスベストの禁止は早かったのに比べ、建材等に使われた石綿製品の全面禁止が遅れた事がアスベスト問題を深刻化させているのです。
記事内容やデーターを示す画像については、私がアスベスト被害者として渡された資料である「全建総連」「中央建設国民健康保険組合」「職業性疾患・疫学リサーチセンター関西支部」等の配布パンフレットから引用させて頂きました。
最後に
アスベスト問題はこれから増え続ける国民的災害です。
今後、アスベスト建材が使われている住宅の解体やリフォーム工事が増え、一般の方にも健康被害が及ぶ可能性がある事を認識して欲しいのです。
すでに、身に覚えがない中皮腫等の病気を発症している方もおられるのです。
国のアスベスト規制の遅れが、健康被害を増大させた事は朗らかであるにも関わらず、アスベスト患者の全面救済には未だ至っていません。
国民的災害被害者への無条件全面救済が実施される事が、国民の願いとなる事を望むばかりです。