スポーツ障害による膝の痛みの症状

市民マラソンや登山などを楽しむ女性が増えていますが、正しい準備運動やストレッチの知識が無いまま続けているとスポーツ障害ともいえる膝の痛みを発症する場合があります。

激しいスポーツや労働作業など、痛めた原因や症状によって分けることができます。膝が痛む症状や疾患について紹介します。





女性やスポーツ初心者に多い疾患

変形性膝関節症については改めて紹介しますのでそちらをご覧下さい。
ここでは、その他の疾患を紹介します。

大腿四頭筋炎症(だいたいしとうきんえんしょう)

20歳以上に多く、太ももの筋肉が炎症して痛みます。
大腿四頭筋が筋肉疲労で異常収縮を起こして痛むようになります。

歩く作業や立作業の仕事の人に多く、マラソン初心者がなる場合もあります。
治療や筋肉疲労の予防には大腿四頭筋のストレッチが有効です。

ベーカー嚢腫(のうしゅ)

膝の裏側にある滑液包に水が溜まり、炎症を起こす腫瘤(しゅりゅう)です。

変形性膝関節症や慢性関節リウマチの合併症として起きやすい嚢腫です。

関節水腫(水がたまる)

膝が痛く、腫れて熱を持つと、滑膜から分泌される関節液(滑液)がたまります。
水がたまると呼ばれています。

膝の炎症を鎮めるためにに分泌されますが、炎症によって関節液が正常に排出されず、関節包内にたまってしまします。
関節液の痛み物質の刺激でさらに炎症が悪化していきます。

膝の皿の上と、膝の裏にたまりやすく、腫れぼったくブヨブヨとしています。膝の裏にたまると、曲げにくくなります。

膝の裏の痛み

膝の裏の痛みは、運動不足解消にウォーキングやランニングを始めた人の筋肉疲労が起こる場合がほとんどです。

冷えなどで血行不良が起こり、リンパの流れが悪くなり痛む場合や、変形性膝関節症が原因で痛む場合もあります。

20歳以下の若い世代に多い疾患

オスグット病

15歳以下の小中学生に多い疾患、膝のお皿の下にある出っ張った骨が痛み、腫れてきます。

膝の曲げ伸ばしで、膝蓋靭帯(しつがいじんたい)が繰り返し引っ張られ、脛骨(けいこつ)と膝蓋靭帯の接触部分が炎症して、最後には、はがれて浮き上がってしまいます。

膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)・ジャンパー膝

高校生くらいに多く、膝のお皿の下が痛んできます。
膝のお皿と骨をつなぐ膝蓋靭帯が炎症します。

バレーボールやバスケットボールなど、勢いよくジャンプを繰り返し、膝に負担をかけるスポーツ選手に多い障害です。
ジャンパー膝とも呼ばれています。

滑膜ヒダ障害(タナ障害)

膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨(太ももの骨)の間のヒダはタナと呼ばれています。
膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、タナが膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨の間でこすれ、炎症を起こして腫れや痛みを起こしやすくなります。

10代の若い女性に多く、膝を酷使するスポーツ(陸上競技、ハンドボール、バレーボールなど)による太ももの筋肉疲労が原因で症状が出やすくなります。

スポーツ選手に多い疾患

腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)・ランナー膝

腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)は、マラソンなどの長距離ランナーに多いことからランナー膝と呼ばれています。

膝の屈伸を繰り返すと、腸脛靱帯が大腿骨とこすれ合い、炎症を起こし、痛みになります。
ランニングによる痛みは、休むことで無くなりますが、股関節外側部のストレッチで大腿筋膜張筋を強化することが再発防止になります。

鵞足炎(がそくえん)(鵞足滑液包炎)

鵞足部分の腱と骨や腱同士がこすれ、炎症が起こりやすくなります。

急な方向転換をすると負担がかかり、発症します。水泳の平泳ぎやサッカー、野球、ラグビーなどのスポーツ選手に多い膝の痛みです。

半月板損傷

半月板は、太ももの大腿骨とすねの脛骨との間に、三日月状の座布団のように挟まっているクッションです。

急激な負荷などが原因で、欠けたり断裂する損傷を起こすと、関節内全体のクッション機能が弱まり、徐々に軟骨に負担がかかる様になっていきます。

運動中の怪我によって発生する事が多いスポーツ外傷でもあります。
変形性膝関節症の始まりも、軽度の半月板損傷が原因になります。

靭帯損傷

靭帯損傷は、膝に強い負荷がかかり、靭帯の一部が傷つき、裂けたり破ける障害です。
症状が軽い捻挫から、靭帯断裂の重い障害まで症状も様々です。

激しいスポーツでの衝突や接触事故による大きな怪我や衝撃で、靭帯損傷が起こるケースが大半です。

最後に

膝関節は曲げ伸ばしする以外の動きに対応していません。
そのため、横からの衝撃や負荷に対応しきれず障害を起こします。

正しいストレッチや体操で膝の痛みを未然に予防したり、回復する事は可能です。
正しい知識を持って、スポーツを楽しみましょう!