バラの新芽

3月6日は啓蟄(けいちつ)、地中で冬ごもりをしていた虫が地上で活動し始める頃と言われていますが、芽吹き出したバラの新芽には、早くもアブラムシが付き始めています。

元気で綺麗な花を咲かせるには新芽の芽かきや害虫駆除等の手入れは欠かせません。
芽吹きの3月から花が咲く5月までの手入れの良し悪しは、今年のバラの生育状態に影響を与えます。




バラの芽吹き

元気なバラの芽吹き

3月になると、陽当たりが良く元気な庭植えのバラから芽吹きが始まります。
画像は木立性のハイブリットティーローズの中でも強健種で元気なピンクのクイーン・エリザベスと赤い大輪が沢山咲く宴の芽吹きです。

鉢植えのバラは、用土を入れ替えている為、用土に根が根付くまで、庭植えよりは少し遅れ気味になります。

早くから新芽が伸びれば生育も早いのですが、3月後半に霜が降り、柔らかい新芽がボロボロになる事があり早すぎる成長には注意が必要です。

新芽の芽かき作業

新芽の芽かき

バラの新芽の芽かき作業とは、画像のように枝の先端の同じ場所から3個新芽が出ている場合、栄養分が3ヶ所に分かれ、其々の枝が細い枝になってしまいます。

そこで中央の新芽か、一番育ちの良い新芽を残し、残りを指で取り除きます。
そうする事で1本の太い枝が育っていきます。
野菜や果物で間引きをする事と同じ考え方です。

バラの品種によって変わりますが、ハイブリッドティーローズの場合は、3月から蕾が膨らむ5月までの2ヶ月間程で30センチ~50センチも枝が伸びます。

枝の節からは5枚葉の葉が伸び、蕾の近くでは3枚葉が2,3ヶ所でき、日光から養分を取り入れてくれます。

バラの害虫と肥料

アブラムシ付き出した新芽

植物全体に言える事ですが、特にバラの肥料には元肥として有機肥料を与えます。
有機肥料は、栄養分がゆっくりと土中に溶け出し、少しずつ長く効果を発揮すからです。

バラの品種本来の綺麗な色の花や形ができるには、バランスの良い緩効性有機肥料が効果的です。
ところが、有機肥料を与えすぎると害虫の発生を誘発する事になりかねません。

新芽が伸びだすとアブラムシがつき始めます。
アブラムシは窒素肥料を与えすぎると発生しやすくなります。

油かすなどの窒素肥料は臭いもきつく、ハエや虫がアブラムシの発生に拍車をかける原因になります。

害虫によるバラの被害

アブラムシの発生は新芽の頃から蕾が大きく膨らんだ頃まで目立ちます。
放置すれば、アブラムシが付いている部分が育ちにくく、その後の生育の妨げになります。

クロケシツブチョッキリと言うゾウムシの種類は、新芽に穴を開けて傷をつけて産卵し、蕾が変色してしおれてしまいます。

ホソオビアシブトクチバと言う蛾の幼虫は、蕾にえぐり取られたような穴を空けます。
枝とよく似た薄茶色の幼虫は見分けがつきにくく、4~5センチの大きさにまでなり、夜の間に蕾を食い荒らす事があります。

アカスジチュウレンジハバチの幼虫は、5月に入って新葉の先端が食い荒らされ、よく観察すると1センチあまりの青虫に似た幼虫が群生している場合があります。

マメコガネの成虫は、蕾が色付き花が開き始めると花弁の中に入り込み食い荒らします 。
マメコガネはコガネムシの小型版で、柔らかい土中で蛹から孵化して大量に発生して飛び回ります。
白やピンク等、薄い色合いの花弁を好み、1個の花に5、6匹いる事もあります。

まだ他の害虫の発生もありますが、花が咲く頃までの主だった害虫と被害でした。
バラには、有機肥料を与えながら害虫の発生を抑える、両方の相反する作業と気配りが大切になります。

最後に

バラは害虫さえ発生しなければ誰でもが育て、楽しむ事ができるのですが、肥料切れや水やり、害虫駆除等の作業がある事で、手入れが大変と敬遠されがちです。

花が咲き揃った時の感動があれば、これらの作業も苦にならないと思うのですが!