記憶は五感の玉手箱
盆栽のさつきに花が咲くと、母の記憶がよみがえる
さつきの鉢植えに、ピンクや白の可愛い花が咲き出すと、 毎年のように丹精込めて育て、植え替えや花摘みをしていた母の姿を思い出す。
さつきの花が咲いていない頃は思いもしなかった想いが、花が咲くことでよみがえる。
花が何かを訴えるかのように、脳の奥底にあった記憶を思い起こさせてくれる 。
記憶は五感の組み合わせ
アルバム写真(視覚)を見れば写真相手と過ごした内容(感覚)を思い出す。
音(聴覚)や匂い(嗅覚)で 記憶がよみがえることもある。
テレビから流れる、懐かしい歌を聴くことで、その歌を聴きながら過ごしていた頃を瞬時に思い出す。
グループサウンズの曲が流れると、友達とギターを片手に真似事をしていた学生時代を思い出す。
ある曲では、当時の彼女とドライブ中によく聞いた。
彼女との懐かしい思い出がよみがえる(妻ではなかった 笑い)綺麗だった彼女、今はどうしているのだろう?
食事では美味しい味(味覚)や香り(嗅覚)で、料理を作った人や、美味しかったお店を思い出し、相手の顔が映像として浮かび上がることもある。
五感による記憶は楽しかったことだけをよみがえらせるわけではない。
辛かったこと、怖い思いをしたことなど思い出したくない記憶までも、 音やその時の状況に似た現象でよみがえることもある。
人間の脳は五感で感じることが増えれば増えるほど 記憶として記録され、必要に応じて 玉手箱 から探し出すように 楽しい記憶を呼び起こしてくれる。
たとえ AI が人間を使う時代が来ようとも、五感による記憶装置を兼ね備えた AI が 開発されない限り、人間を超えることはないだろう 。